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『ウェブ進化論』を読んだ

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

本書が書かれたのは 2006 年。もう 10 年以上も前のこと。当時はベストセラーになったよう。IT 業界に台頭してきた GoogleAmazon についてや、Web の実現する新しいビジネスや社会について評した新書。

気分転換に一通り手にとって読んでみたのだが、驚いたことに 2006 年に書かれたとは思えないほど、今の社会を表現していると感じた。Google を代表的に作り上げたインターネットの「あちら側」の世界。新しい富の分配システム。Amazon 経済圏。ブログが実現した総表現社会オープンソース現象と信頼の置ける情報の価値。

もちろん、Facebook を始めとする SNS や、AR/VR の技術革新、仮想通貨のもたらした新しい富の形については述べられていないものの、上げたトピックに関する著者の深い洞察に驚かされた。http://blogos.com/article/74489/ のような記事も 2013 年に公開されていたが、同様に感じている人も多いのではないかと、周囲の人と話しても感じる。

書かれている内容に関しては、「確かにそうだよね」と納得する部分が多かったり、「今のあのサービスは当時こういう面影だったのか」と振り返ったり、まさに気分転換にぴったりであった。

しかし、何より驚かされたのが、著者の洞察力である。2006 年に同じ未来を描いていた人がどれだけいただろうか。当時のシリコンバレーで働いた経験や、積極的に若者の意見を聞きに行く著者のスタンスや行動力、そして時代の大きな流れを見るセンスに裏付けられたのがこの書なのかもしれない。その内容ではなく、この本が書かれたプロセス、そして著者の洞察力こそがこの本を読んでえた学びであった。

時代の流れに敏感たれ。そういう著者の 12 年越しのメッセージを受け取った気がした。気分転換にと手にとったにしては、運命的な出会いだったかもしれない。